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PTEeXAMの傾向と対策(1) [TEE]

Webからの移動シリーズ第1弾です。もうひと月もすると来年のPTEeXAMの詳細が発表されます。PTEeXAMの合格の有効期間は10年間。10年後にあの試験に受かるとはとても思えません・・・。

PTEeXAMとは・・・ 

PTEeXAMとはExamination of Special Competence in Perioperative Transesophageal Echocardiography の略であり,アメリカのNational Board of Echocaradiography:NBEが行う術中経食道心エコーの資格試験です。せっかく試験を受けて,運良く合格できたので,今後,PTEeXAMを受ける方のために,私の行った勉強法と実際の試験の傾向について書いてみようと思います。ただし,すべて私の独断と偏見ですので,あしからず

どんな試験か

(私が受けたのは2004年なので,変わっていなければ)1時間20分の50問ぐらいのVideo問題のあと,20分の休憩をはさんで,今度は3時間ぶっ続けで150問の筆記試験。全て5個の選択肢から正解を一つ選ぶマークシート形式です。朝の8時から始まって,13時30分には終了するという日程です。180分の筆記はかなりつらかったです。
4人につき1台のモニター(28インチぐらい? SONYでした)があり,バカでかい計算機と,消しゴム付き鉛筆が数本。この写真のように長机に2人がすわります。ちなみに私の隣はインド人で,恐ろしい速さで試験を終えて出て行きました。一方近くのnativeの人はため息をつきながら試験を受けてました。お前がためいくをつくな!って感じでした。

傾向としては,NBEの試験では単純に診断を問う問題は少なく,ある所見が示されて「必要な処置は何か(例えばIABPを挿入するとか,CPBを再導入するとか,air抜きをするとか)」「不適切な治療は何か」「最も合併しやすい病態は何か?」といった問題が多く出ます。
つまり,経食道心エコーを臨床に生かすための知識を問う試験ということです。

例えば・・・僧帽弁形成後のSAM(僧帽弁の前方運動)の画像が出されたとします。しかしこれは何ですか?という問題はでません。出題されるとすればSAMを解除するのに必要な処置は?という問題です。あるいはどのような症例でSAMが起こりやすいか?でしょう
 別の例では,TG-mid SAX(左室の短軸像)の斜め切りなっている絵が示され,正しい画像にするにはどのようなProbe操作をしたらよいかという問題もありました。実際にProbeを触っていないと答えられない問題です。
意外にもよく出題されるPLSVCに関する問題では,選択肢にはPLSVCはおろか,Coronary sinusさえ有りませんでした。どのような選択肢か忘れてしまいましたが,あるとすれば,この患者に不適切な心筋保護の方法は?とかPLSVCをどのように診断するかといったものでしょう。

試験の「ヤマ」は・・・・
率直に言って,無いと思います。
でもNBEからどのような範囲から問題を出すか示されていますので,これを是非ご覧になってください。
あらゆるところから出題されますが,これまでに,いわゆる基礎の分野ができなくて不合格になったという話を聞くので基礎のところはよくみておくと良いでしょう。

 そうは言っても,基礎の分野は,臨床にほとんど使わないので軽視されがちです。でも本当に実際の臨床で基礎知識はいらないのでしょうか?
 実はそうではありません。様々なArtifactを見破ったり,適切な画像や正確な計測値を得るためには,やはり必要な知識なのです。
 例えばcolor DopplerのNyquist limitやPRFのことを全く知らなければAliasingがどうして起こるかわかりませんし,どのように画像を調整するかわからないでしょう。Refraction(屈折)のことを知らなければ,Pulmonary Atery CatheterがAortaの中にある!と大騒ぎになるかも知れません。Reverberation(多重反射)を知らなかったために,解離と間違われて,不必要な手術が行われてしまうかもしれない・・・。Continuous Wave DopplerとPulse Wave Dopplerの特性の違いを知らなければ,血流速度の不適切な評価につながるでしょう。
 正確な診断をするためには,まず評価に耐える画像,適切な条件の画像を得なくてはならない,そのためには基礎の知識が必要。そう思うとmotivationが少しは上がるのではないでしょうか。

ちなみに,2004年のPTEeXAMの合格率は68%で,合格には61%の正答率が必要でした。

(2)に続く


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