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TEE Case 11:術後ICUで [TEE_case]

63歳女性です。
ASrに対して生体弁(CEP21)によるAVRが施行されました。
心室中隔の肥厚があり,myectomyも併せて施行されています。
術後10日目にlate cardiac tamponadeでドレナージ施行されました。
心拍出量が低下し,血圧も低下傾向であったため,ドブタミンを使用したところ
血圧がさらに低下してしまったとのことです。
循環動態の評価のためにTEEを施行することになりました。




・何が起こっているのでしょうか?
・どのように対処したらよいでしょう?


これは僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)を伴う左室流出路狭窄(LVOTO)の
所見です(画像が見にくくて申しわけありません)
ドブタミンを投与することでLVOTOが増悪し,心拍出量が減ったと考えられました。
SAMのためにMRもありますね。

LVOTOの治療としては
・輸液負荷
(EDA 30% up,PCWP 15-18mmHg)
・フェニレフリン
(mean BP>100mmHg or 30% up) 

・カテコラミンなど強心薬の中止
・βブロッカーの使用を考慮

ということになります。要は収縮期に左室が小さくならないようにする
ということですね。

そこでこの患者さんもHESでvolume loadingを行い,カテコラミンを減量・中止,
そしてLandiololを開始しました。





LVOTOが改善し,MRも少なくなっていることが分かります。



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コメント 3

hiro

はじめまして。先週末の講習会に出て、この話がやっとわかるようになりました。盛りだくさんの内容だったので帰ってくる頃には大方忘れてましたが、テキスト読んで秋にむけてがんばりたいです。

by hiro (2008-03-18 20:08) 

nagare-anes

hiroさんコメントありがとうございます。

このようなLVOTの狭窄の症例はあまりないのかなと
思っていたのですが,最近,よく診る機会が多いので
取り上げてみました。

今後ともよろしくお願いします。
by nagare-anes (2008-03-20 16:00) 

clonidine

LVOTOとは、国家試験的にはHOCMぐらいしか思いつきませんが、実際の臨床では「HT性LVH+麻酔導入時のSVR低下」程度で案外簡単に発現します。

心臓移植の体外循環離脱時に期待したほどの血圧が出ず、某エライ先生がひたすらカテコラミンを増やしDoA+DoB+MilをMax使用していたので、TEEで確認したところLVOTO+SAMがみられ、カテコラミンはDOA少量+ネオシネジン+Volume負荷で乗り切ったことがあります。

結論として、移植患者(小柄女性)とドナー心(LVH)のミスマッチ+心肺離脱前のVolume不足、だったんじゃないかと思います。

「そのうち、Case Reportにしてやろう」と思ってましたが、某エライ先生にごちゃごちゃ言われて放置しているうちに、逃散退職してしまいましたが・・・

そういえば、NBEの申請は上手くいきましたか?
by clonidine (2008-03-29 22:42) 

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