TEE Case 09: AVRで [TEE_case]
何とか荷物の搬入は終わりましたが,家の中は…。
ホテルのエクストラベッドがあまりに硬く,早朝覚醒してしまいました。
69歳男性。大動脈弁逆流に対して大動脈弁置換が施行されました。
術前のTTEではLVDd/s 65/54mm,%FS 17%でした。
人工心肺からの離脱時の画像です。
さて,どうしましょうか?
しかし,これだけでは身も蓋もありませんね。
みなさん,すでにお気づきのように,問題は「逆流」です。
この逆流をどう考えますか?
・この患者さんに植え込まれた人工弁の種類はなんでしょう?
・Transvalvular?それともPerivalvular?
・逆流が出てきている場所はどこ?
・正常?それとも異常?
そして。次の一手は?
GuGuさまコメントありがとうございます。
豚大動脈弁を処理した生体弁,すなわちMosaicがこの症例では使用されました。
この逆流をどう判断するかですが・・・
逆流が大動脈弁弁輪に対して平行に吹き上がっています。
Perivalvularにしては妙な逆流なんですね。Perivalvularなら
普通は弁輪に対して垂直方向に出ることが多いのですが・・・。
ならばTransvalvularかというとよくよくみると弁輪の中では
なさそうなんです。逆流の出所は右冠尖の真ん中あたりで,
Transvalvularだとすると,これは明らかに異常。
Perivalvularだとすれば,逆流の向き,大きさから考えてもrepairは必要
だろうと考えました。
外科の先生とディスカッションして,まずこの逆流はrepairが必要だろうと。
人工心肺時間も短く,安全にrepairできるだろうから2nd runすることにしました。
逆流に関しては「逆流の方向が変だけど,Perivalvular leakageの可能性が高い。
場所は右冠尖の真ん中あたり。」と外科医に伝えました。
もちろん「Transvalvularの可能性もあり」ということも。
2nd runしてみると右冠尖の真ん中あたりの弁輪に裂け目が入っており,
これが原因であのような逆流を生じたようです。
Perivalvular leakageでしたが,ただのPeriではなかったということです。
再度,大動脈弁置換を機械二葉弁で行い,問題なく人工心肺から離脱しました。
Washing jetsがよくみえますね。
貴重な症例をありがとうございます。
・この患者さんに植え込まれた人工弁の種類はなんでしょう?
→反射やshadowがないので生体弁、3個のステントらしきものが見えるので、ステント付き生体弁。
・Transvalvlar?それともPerivalvlar?
→Perivalvular
・逆流が出てきている場所はどこ?
→右冠尖の位置(6時)
・正常?それとも異常?
→異常
そして。次の一手は?
→re-pumpして修復
と思いますが、いかがでしょう?
by GuGu (2007-11-28 11:22)
なるほど,確かにあの方向に吹くperivalvular jetは見たことがありません(というほど症例数がありませんが).
詳細に経過も説明して頂いて,大変勉強になりました.
ありがとうございました.
by GuGu (2007-12-02 12:58)
GuGuさん,コメントありがとうございます。
実は私自身もAVRのperivalvular leakageの経験が,
不思議なことにあまりないのですね。
外科の先生は初めのうちはTransvalvularと考えられた
ようで,弁の不良を疑われていたようです。
私の方もTEEの所見でPeriの可能性が高いとは思いましたが,100%の確信はもてませんでした。
今回のjetは珍しいパターンでしたので
呈示させていただきました。
今後ともよろしくお願いします。
by nagare-anes (2007-12-05 08:12)